
Stable Diffusionの画像生成をより快適に行うためには、使用するGPU、つまりグラフィックボードの性能や構成が非常に重要です。
最近では、処理能力を高めるために「Stable Diffusionでグラボ2枚構成を使うべきか?」といった疑問を持つ方も増えてきました。
本記事では、Stable Diffusionにおけるグラボ2枚構成のメリットや注意点を、初心者にもわかりやすく解説します。
グラボを複数使用する設定方法や、グラボ2枚が非SLI構成でも問題ないのか、異なる種類のグラボ2枚を組み合わせて運用できるのかといった実用的なポイントに加え、グラボ2枚による負荷分散や独立運用の方法についても詳しく取り上げています。
Stable Diffusionにおけるグラボ構成で悩んでいる方は、この記事を読むことで、複数GPUの設定や運用の考え方を整理し、よりスムーズな生成環境を整えるヒントが得られます。
この記事のポイント
- Stable Diffusionでグラボ2枚を使う際の基本的な仕組みや設定方法
- 異なる種類や非SLI構成でのグラボ2枚運用の注意点
- グラボ2枚による負荷分散や独立運用のメリットと限界
- 安定した動作を実現するための具体的な構成や選び方
StableDiffusionでグラボ2枚は本当に必要?そのメリットと注意点
Stable Diffusionの推奨GPUはどれ?迷ったときの選び方

Stable DiffusionのGPU選びでは、VRAM容量や処理性能、消費電力、価格のバランスが重要。RTX 3060はコスパ重視、RTX 4090は高性能志向に最適です。
Stable Diffusionを快適に動かすためには、推奨されるGPUを正しく選ぶことが非常に重要です。
現在、多くのユーザーが利用しているのは、NVIDIA製のGPUです。特に「RTX 30シリーズ」や「RTX 40シリーズ」は、処理速度とメモリ容量のバランスがよく、Stable Diffusionとの相性も抜群です。
なぜなら、Stable Diffusionでは画像生成の際に大量のVRAMを消費するため、VRAM容量が大きく、Tensor演算に強いGPUが求められるからです。
例えば「RTX 3060」は比較的価格も手頃でありながらVRAMが12GBあるため、初心者にも人気があります。→ AmazonでRTX 3060をチェックする
一方で、より高速な処理を求めるのであれば「RTX 4080」や「RTX 4090」などのハイエンドモデルが有力な選択肢となります。
これらのGPUは、VRAMも24GB近くあり、プロンプトの複雑な生成でもスムーズな動作が可能です。
とはいえ、価格面や消費電力の問題も無視できません。
消費電力が高いGPUは、電源ユニットの交換が必要になったり、PCケースのサイズに影響を与えることもあります。
そのため、GPUを選ぶ際には、単純に性能だけでなく、自分の使用環境や予算とのバランスを考慮することが大切です。
このように、Stable Diffusionの推奨GPUを選ぶ際には「VRAMの容量」「処理能力」「消費電力」「価格」の4点を総合的に判断しましょう。
自分の目的に合ったGPUを選ぶことが、快適な生成環境を整える第一歩となります。
VRAMが足りないときはどうする?拡張方法と工夫
VRAM不足には解像度の調整や仮想メモリの活用で対応可能。抜本的に解決したい場合は、VRAMが多いGPUへの買い替えも選択肢です。
Stable Diffusionを使っていると「VRAMが足りない」と感じることがあります。
このような場合、まず考えたいのは「使い方の工夫」です。例えば、画像解像度を下げたり、バッチサイズ(1回の生成枚数)を小さくすることで、使用VRAMを減らすことができます。
これにより、同じGPUでもメモリ不足によるエラーを回避することが可能です。
それでも足りない場合は、仮想メモリ(Swapメモリ)を活用する方法もあります。Windows 11での設定方法については、マウスコンピューターの解説記事をご参照ください。
これはVRAMではなく、PCのストレージを一時的な記憶領域として使う仕組みです。具体的には、Windowsの設定で仮想メモリのサイズを拡張したり、Linuxでは--medvram
や--lowvram
オプションを有効にすることで対応できます。
ただし、この方法では速度が大幅に低下するため、あくまで一時的な対処法と考えてください。
もっと本格的な対策としては、VRAMの多いGPUへ買い替える方法もあります。→ AmazonでVRAM容量の多いGPUを探す
たとえば、8GBから12GB、もしくは24GB以上のモデルへとアップグレードすることで、安定性と処理能力の両方が向上します。
また、生成をCPU側に一部任せるような設定や、メモリ消費を抑える軽量化モデル(例:fp16モデルなど)を使うことも、VRAM節約に役立ちます。
このように、VRAM不足の問題には複数の対処法があります。
すぐにGPUを買い替えるのではなく、まずは設定や使い方を見直すことで、環境改善につなげられます。
グラボ2枚で負荷分散できるって本当?気になる性能への影響

グラボ2枚での負荷分散は可能だが、設定が複雑で初心者向きではない。安定運用を重視するなら、1枚の高性能GPUが現実的です。
Stable Diffusionでグラフィックボードを2枚使用する場合、「処理を分担させて効率を上げられるのでは?」と考える方も多いでしょう。
結論として、グラボ2枚による負荷分散は「一部の環境」では可能ですが、誰にでも簡単に使えるものではありません。
Stable Diffusionは一般的に1枚のGPUをメインで使用する設計となっているため、単純に2枚挿しても自動的に処理を分担してくれるわけではないのです。
一部の高度な設定を行えば、特定の処理(例:並列生成や学習処理)を複数のGPUで分散することも可能ですが、設定は非常に複雑になります。
また、PyTorchやCUDAといった基盤技術への深い理解が求められるため、初心者にとってはハードルが高いでしょう。
さらに、グラボ2枚を使用すると電源容量や発熱、ドライバの競合といった問題も発生しやすくなります。
グラフィックボードを2枚差しするメリットとデメリットについては、別記事「GPU2枚差しで快適になる?メリットとデメリットをやさしく解説」でも詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。
快適な運用を目指すのであれば、1枚の高性能GPUを使う方がシンプルかつ効率的なことも多いのです。→ Amazonで高性能GPUをチェックする
それでも2枚構成で負荷分散を試したい場合は、生成処理と表示処理など、役割を分ける方法や、バッチ生成の並列化などを検討するとよいでしょう。
ただし、どの方法でも「完全な自動負荷分散」は期待しない方が無難です。
異なる種類のグラボ2枚でも大丈夫?組み合わせのコツ
異なる種類のグラボ2枚でも運用は可能だが、メーカーや世代をなるべく揃えるのが安定運用のコツ。役割分担やドライバの互換性にも注意が必要です。
Stable Diffusionの環境を強化するために、異なる種類のグラボを2枚使いたいと考える方もいるかもしれません。
結論から言えば、異なる種類のグラフィックボードでも併用は可能です。ただし、いくつかの注意点と組み合わせの工夫が必要です。
まず大切なのは、2枚のGPUに対して役割分担を明確にすることです。
たとえば、一方のGPUを生成処理に、もう一方を画面表示や別プロセスの補助処理に使うという形で役割を分けると、互いの干渉を抑えて安定性が向上します。
ただし、異なる種類のGPUはドライバの互換性やCUDAの対応バージョンが異なる場合があるため、セットアップ時には注意が必要です。
NVIDIA製であれば比較的スムーズに動作しますが、AMDとの混在はトラブルの元になりやすいので避けた方が無難です。
もう一つのポイントは、GPUごとの性能差に注意することです。大きく性能が異なると、処理速度に差が生まれ、効率的な併用が難しくなります。
たとえば、RTX 4090とGTX 1060のように世代が大きく異なる組み合わせでは、安定性よりも不具合や遅延が目立つ可能性があります。
このように、異なるGPUを2枚使う場合には、同じメーカー・同じ世代で、できればVRAM容量や性能が近いモデル同士を選ぶのが理想です。
完全に一致していなくても動作はしますが、なるべく近いスペックの方がトラブルが少なくなります。
非SLIでもOK?グラボ2枚を安定動作させる設定方法

非SLI構成でもグラボ2枚の使用は可能。ただし、GPUごとに処理を分けて明示的に使い分ける必要があり、設定やVRAM管理が重要です。
SLI(スケーラブル・リンク・インターフェース)は、2枚以上のグラフィックボードを連携させて動作させる技術ですが、Stable Diffusionのような生成AIでは必須ではありません。
実際、SLI非対応でも2枚のGPUを併用することは十分可能です。
なぜなら、Stable DiffusionはGPUによる「並列処理」を自動的に分担する仕様ではなく、明示的にどのGPUを使うかを指定する必要があるためです。
このような非SLI構成でも安定して動作させるためには、いくつかの設定がカギになります。
まず、使用したいGPUを個別に指定する方法を知っておくことが重要です。
Pythonのコードや実行オプションで「CUDA_VISIBLE_DEVICES=0,1」などと指定することで、どのGPUを使うかをコントロールできます。
また、OS側やドライバ設定で、各GPUに割り当てるタスクを整理しておくと安定性が増します。
たとえば、片方のGPUにはStable Diffusionの処理を割り当て、もう一方にはディスプレイ出力や別のタスクを任せるといった使い方ができます。
さらに注意点として、非SLI構成ではVRAMを共有できないため、それぞれのGPUが持つメモリ容量内で処理を完結させなければなりません。
この点を理解せずに無理な負荷をかけると、処理が停止したり、エラーが頻発する原因になります。
このように、非SLIでもグラボ2枚の運用は可能ですが、明確なタスク分担と設定の工夫が必要です。
無計画に2枚使うのではなく、それぞれの役割を意識した設計が安定動作への近道となります。
StableDiffusionでグラボ2枚を活かす設定と活用テクニック
グラボ2枚を使い分ける設定術!独立して動かすには?

グラボ2枚を独立運用するには、環境変数などで使用GPUを明示的に指定する必要があります。適切に設定すれば効率的な使い分けが可能です。
Stable Diffusionやディープラーニング用途でグラボを2枚使う際、効率よく使い分けるには「独立した運用」が重要です。
まず前提として、グラフィックボードを2枚搭載していても、特に設定をしなければ片方のGPUしか使用されないケースが多くなります。
これを回避するためには、それぞれのGPUに役割を割り振る設定が必要です。たとえば、生成タスクはGPU0、補助的な画像処理やサブプロセスはGPU1に担当させるなどです。
使い分けのためには、OS側の設定や、Stable Diffusionを動かす環境(Pythonなど)の環境変数を使って明示的にGPUを指定するのが有効です。
代表的な方法は、「CUDA_VISIBLE_DEVICES
」という変数を使う設定です。これにより、実行時に使用するGPUを「0」や「1」として明確に分けることができます。
一方、独立動作には注意点もあります。それぞれのGPUが同じくらいの性能でなければ、片方だけに負担が集中して効率が下がることがあります。
また、GPU同士でリソースの奪い合いが起きないように、他のソフトウェアやバックグラウンド処理にも気を配る必要があります。
このように、2枚のグラボを「独立して動かす」には、システム全体を俯瞰したうえでの調整と、各GPUの使い道をあらかじめ計画することが求められます。
うまく設定できれば、処理効率が大幅にアップします。
GPU2枚でディープラーニングはどう変わる?実用面を解説

GPU2枚構成により、ディープラーニングの並列処理や実験効率が大幅に向上します。ただし、VRAMの共有はできず、高度な設定が必要なケースもあります。
グラボを2枚搭載することで、ディープラーニングの処理速度や効率が大きく向上する可能性があります。特に、Stable Diffusionのようなモデルでは恩恵を感じやすいでしょう。
2枚のGPUを使う最大の利点は「並列処理による高速化」です。
大量の画像を一度に処理したい場合、それぞれのGPUに別々のタスクを振り分けることで、全体の処理時間を短縮できます。
また、実験的に異なるモデルやパラメータ設定を並列で試すことも可能になります。
さらに、VRAM不足に悩んでいた方には救いになる構成でもあります。
複数のGPUを使うことで、片方のVRAMが埋まっていても、もう片方で処理を回すことができるからです。
ただし、VRAMを共有できるわけではないので、1つの大きなモデルを2つのGPUで分割して動かすには、高度な設定や特別なライブラリ(例:DeepSpeedやTensorFlowの分散処理機能)が必要です。
とはいえ、ディープラーニング用途において2枚のGPUは非常に実用的で、特にプロジェクトを複数同時に進行するようなワークフローでは効率が劇的に向上します。
安定動作させるには電源容量や冷却性能などのハードウェア面にも気をつける必要がありますが、それに見合った成果が期待できます。
StableDiffusion グラボ2枚構成の要点まとめ
- Stable DiffusionはVRAM容量の大きなGPUが効果的
- RTX 3060はコスパ重視、RTX 4090は高性能志向に適する
- VRAM不足は解像度やバッチサイズの調整で軽減できる
- 仮想メモリの活用で一時的なVRAM不足にも対応可能
- グラボ2枚構成でも自動的な負荷分散は行われない
- 高度な設定を行えば2枚のGPUを分担して使える
- グラボ2枚運用には電源や冷却などの環境整備が重要
- 異なる種類のグラボでも動作は可能だが相性に注意
- 同一メーカー・同世代での組み合わせが安定性に寄与する
- 非SLI構成でもGPUごとの明示的な使い分けは可能
- CUDA_VISIBLE_DEVICES変数を使えばGPUを指定できる
- VRAMは2枚あっても共有されず、それぞれで管理が必要
- ディープラーニングではGPU2枚で並列処理の効率化が可能
- 複数モデルや実験を同時に進めたい場合に2枚構成が有効
- 安定運用には設定知識とハード面のバランスが求められる